歴史
よく聞く言い回し「七つの海」の謎
大海賊の称号、「七つの海を股にかけた~」
海を舞台にしたロマンやスペクタル物語に出て来る「7つの海を股にかけて」という言葉が出て来る海賊モノの映画や小説などでも、よく耳にするフレーズですよね。
「七つの海を制覇する」は、すなわち「全世界の海を制覇する」のと同じ「7つの海を股にかけて~」というのは、全世界の海のことを指しています。
ラジャード・キプリングが詩集のタイトルに「七つの海」と付けたことで有名になった英語圏では、ラドヤード・キップリング(ラジャード・キプリング)の1896年の詩「七つの海 (The Seven Seas)」で有名になった言葉です。
この「7つの海」とは、どことどこでしょうか?ためしに7つ、思いつくものを挙げてみてください。
実は「七つの海」の定義は時代によってバラバラだった
世界はまだまだ未知のものだらけだった時代…
男たちは、命をかけて海の向こうのまだ見ぬ土地を目指しました。
七つの海を定義したのはラドヤード・キップリングがはじめてではありません言葉として有名になったきっかけはイギリスの作家の作品でしたが、それ以前から定義はあったようです。
「7つの海」といういいかたをよくしますが、どの海をさすかは、じつは時代によって変わります古くには、北海、バルト海、地中海、紅海、シナ海など、そのどれかを一つに数え上げた幾種類もの七つの海があり、時代によりその定義は異なっていました。
陸路が一般的だった時代には船での移動範囲はあまり広くなく、知られている「世界の海」も限られた範囲のものだった知っている海、よく航海している海を指して「7つの海」と言っていたようです。
中世アラビアの「七つの海」
大西洋
地中海
紅海
ペルシャ湾(アラビア湾)
アラビア海
ベンガル湾
南シナ海
アラビア人たちが活躍していた海で、これが本来の「七つの海」になる中世アラビア人は、彼らが帆船で航海した全ての海を7つに数え上げました。
遠くて航海が危険であった太平洋や北極海、南極海は含まれていないそれでも既にアジアに到達していたとは驚きです。
中世ヨーロッパの「七つの海」
大西洋
地中海
黒海
カスピ海
紅海
ペルシャ湾(アラビア湾)
インド洋
ヨーロッパ人は、多少異なる範囲を七つの海と呼んだアラビア人とは少し選定が違いますが、ヨーロッパ人も古くより「7つの海」を定義しています。
大西洋の代わりにアドリア海が入っている場合もあるが、ヨーロッパの海がメインになるアラビア人の場合と同じく、航海をしていた海域を「7つの海」に数えました。これは、2世紀アレキサンドリアの天文/地理学者のプトレマイオスの著書「地理学」によって定義されたものと言われています。
大航海時代の「七つの海」
大西洋
地中海
カリブ海
メキシコ湾
太平洋
インド洋
北極海(北氷洋)
新大陸であるアメリカ周辺のメキシコ湾、カリブ海が入っているのが特徴的カリブ海、メキシコ湾はアメリカ大陸発見の時代を象徴していますね。
大航海時代になり初めて、「七つの海」の範囲は実際に全世界になった太平洋が出てくるあたりも、新世界の幕開けを象徴しています。
現代の「七つの海」
北大西洋
南大西洋
北太平洋
南太平洋
インド洋
北極海(北氷洋)
南極海(南氷洋)
大航海時代にはなかった南氷洋(南極海)が入り、「世界の全ての海」となる太平洋と大西洋は北と南の2つに分け、数えています。
現代は、全て大洋であるため、「七つの大洋(七大洋)」とも呼ばれる海域を細かく分けていた「7つの海」とは、ちょっと性質が異なっちゃいました。
大西洋と太平洋が、それぞれ2つずつスペースを取っているおかげで、淡白な感じになっています確かに、ちょっとロマンは感じられないかも知れません。
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