歴史
■物議をかもした「黒塗りメイク」
ラッツ&スターのメンバー、佐藤善雄さんが2015年2月12日にツイッターで画像を公開ももいろクローバーZとラッツ&スターが音楽番組で共演した際の写真を投稿しました。
そこには、共演した「ももクロ」のメンバーたちが顔を真っ黒に塗って、ポーズを決めた様子が写っていた
同日、この画像を引用する形で、ニューヨーク・タイムズの日本人女性記者がTwitterで
「Why Japan needs to have a conversation on racism」(なぜ日本人は人種差別の議論を呼ぶのか?)と反応。
「人種差別的」と指摘した
■これに対し「差別的な意図がないから問題ない」という声も
「なにが問題なの?」
一部の日本人ユーザーからは「黒人へのリスペクトを表していた」「意図していなかったので、差別ではない」といった擁護の意見も
「過剰反応ではないか」「彼らに人種差別の意図はなく、敬意や憧れを表している」といった意見が少なくなかった。
■一方で、「海外から見るとこれは絶対にアウト」という指摘
アメリカにおける黒人差別の歴史、とりわけ「ミンストレル・ショー」の歴史を考慮すると、今回の件は完全にアウトだという指摘が多い。
■今回の件で言及されることの多い「ミンストレル・ショー」とは?
「ミンストレル・ショー」
1820年代のアメリカで生まれた芸能。白人が黒塗りのメイクをして、黒人奴隷たちの生活の様子を面白おかしく演じたショー。のちに黒人自身が自ら黒塗りをして演じることもあった。
「ミンストレル・ショー」とは、白人が焦がしたコルクで顔を黒く塗り、黒人の格好を真似て歌い踊るショー「白人が黒塗りをして黒人を演じる」というのが最大のポイント。
1840年代に人気を集め、その後半世紀にわたって最もポピュラーな娯楽として発展していくことになる。
Blackface Minstrel Show Sand Dance
黒人をからかう差別的な内容が多かった。
無知で、滑稽(こっけい)で、ずるくて、怠け者で、スケベで……という当時の黒人への偏見と思い込みを極端に誇張したものだった。そのメイクも「黒塗り」に加え、真っ赤で分厚い唇など、黒人を戯画化した差別的なものだった。
■だから今、黒塗りなど絶対にありえない
黒人差別と直結した芸能であるため、今となってはタブーである。
ミンストレル・ショーはアメリカのショー・ビジネス史のなかで恥ずべき過去とされている。
人種差別的な内容であったことから、近年では、ミンストレル・ショーや黒塗りメイクは米国をはじめとする欧米諸国でタブーとされている。
アメリカ人にとって、ブラックフェイス(黒塗り)はただ一種類、否定的な意味しか持っていません。それは、偏見、嘲り、そして人種差別です。
▼外部リンク 出典元
黒塗りはなぜダメ?日本人も知っておきたい「ミンストレル・ショー」の歴史